浄土宗 善照寺

善照寺の年間行事

初念佛会

初念佛会は浄土宗をお開きになった法然上人の命日(建暦2年正月25日)のための法要です。

法然上人は長承2年美作の国にお生まれになりました。9才のとき父君が宿敵に 討たれ亡くなります。が、そのときの遺言に従い当時の常識であった敵討ちを諦め、頭を丸めて近くのお寺にあずけられました。勉学に極めて優秀であったため15才で比叡山延暦寺に移りました。比叡山では黒谷にお住まいになり、一切経を5度読み返し、インド、中国、日本の論文、解説書を読破し、43才のとき阿弥陀佛への帰依によって全ての人々が救済されることを悟り、浄土宗をお開きに成りました。

その後、幾多の宗教弾圧に遭遇しましたが、専ら南無阿弥陀佛の教えを広め、建暦2年正月25日に80才で臨終を迎えました。その2日前に弟子達に遺言として 一枚起請文をお書きになっております。

善照寺では1月17日に初念佛会として法然上人のご供養を行っています。初念佛会では通常の法要に加えて一枚起請文をお読みするとともに、一枚起請文に関する法話を行い、現代生活の中で法然上人の心をあらためて生かす方法について考え たところをお話ししております

初念佛会の写真

初念佛会の写真

お彼岸

「彼岸」とはあちら側の岸という意味です。現世をこちら側の岸「此岸:しがん」と言うのに対して、「彼岸」とは悟りの世界を意味しています。そして、お彼岸の期間は悟りを得るための集中修行期間です。

悟りを得るための修行として代表的なものに六波羅密があります。六波羅密とは悟りを得るための6つの修行目標です。

  • 布施(ふせ) ・・・・・ 思いやりを持つこと
  • 持戒(じかい) ・・・・・ してはならないことをしないこと
  • 忍辱(にんにく) ・・・・・ つらいことにも耐えること
  • 精進(しょうじん) ・・・・・ 一生懸命はげむこと
  • 禅定(ぜんじょう) ・・・・・ 心を強くし、落ち着くこと
  • 智慧(ちえ) ・・・・・ 真理を悟ること

現在のお彼岸は墓参りが中心で、あちらの岸に至った人々(亡くなって仏様になった人々:先亡諸霊位)へのご供養が中心になっております。先亡諸霊位に向けた供養の心は、鏡のように跳ね返り増幅されて供養した人に戻ってきます(これを回向という)。この供養する心を持つことは極めて重要でありますが、このお彼岸の期間中ぐらいは六波羅密のことを考えて暮らすようにすることも忘れないで下さい。

お彼岸は春と秋にあります。中日(春分の日、秋分の日)と前後3日計7日間です。
少なくとも、先祖、先亡の供養はいたしましょう。

お盆

お盆のことは「盂蘭盆経」という教典に書かれています。このお経によると、お釈迦様の十大弟子の一人である目連尊者が、雨期の修行中に天現通という超能力を 体得しました。この超能力は全てのものを見ることが出来るという脳力です。そこで、目連尊者が既に他界した母親がどこに居られるのかを探し始めました。当然、 極楽から探し始めましたが居りません。次に天界、人間界、阿修羅界、畜生界を探しましたが居りません。そして、地獄界を探し始めたとき火炎地獄に居ることを探し出しました。

目連尊者は大慌てでこのことをお釈迦様に報告しアドバイスを求めたところ、雨期が明けたら多くの僧侶を集め、亡き母のために盛大な法要を営みなさいと言われました。そこで雨期の明けた7月15日に食べ物が火炎に変化しないような呪文と盛大な法要を営んだところ、母親は極楽に往生する事が出来たとされています。

このお話にちなんで先亡諸霊のご供養をするのがお盆の習慣となりました。現在 のお盆の法要は、檀信徒の仏壇を盆飾りで飾り、食べ物をお供えし、そこに菩提寺 から僧侶が来て先亡の霊が食べ物を食べられるような呪文を唱えて回るという棚経法が行われています。東京地方は盂蘭盆経に忠実に7月13~15日、その他の地域では旧暦に従ったり、月遅れで8月13~15日に法要は営まれています。

お盆の写真

お盆の写真


施餓鬼会

お釈迦様の十大弟子の一人である阿難尊者が、いつものように一人で瞑想修行を 行っておりますと目の前に餓鬼が現れて「おまえの命は後3日、そして地獄に落ちることになっている」と囁きました。阿難尊者はたいへん驚き、このことをお釈迦様に報告しアドバイスを求めました。お釈迦様に依れば人間というものは自分の関係する霊には供養を施すが、縁のない霊には供養しない。ところが縁のない供養されない霊が餓鬼世界に沢山さまよっている。その餓鬼たちが供養してくれと現れたのだと教えられました。そして、餓鬼達の供養の方法を教えて下さいました。そこで、阿難尊者は多くの僧侶を集め、お釈迦様に教えられた呪文を唱え、餓鬼の供養 を行いましたところ全ての餓鬼が極楽に至ることが出来たと記されています。

話の真偽はともかく、自分に関係する霊だけでなく普段誰にも供養されていないため餓鬼界に落ちた霊の供養を行うことは重要なことで、大切な布施行の一つです。 餓鬼界が実在するか否かについても話は置いておきまして、この世界の中に餓鬼のような生活を余儀なくされている人々が沢山存在していることは事実です。このような人々に対する布施行(ボランティア活動、資金援助)はまさに施餓鬼であります。

善照寺では毎年8月17日に施餓鬼会を行っています。丁度お盆の時期であり、お盆には有縁の先亡諸霊の供養を、施餓鬼には無縁の諸霊の供養を行っております。

施餓鬼会の写真

施餓鬼会の写真


十夜会

十夜法要は阿弥陀様への報恩感謝のための法要です。阿弥陀様は遠い昔に過去、 現在、未来の全ての人々に対してお約束をしました。このお約束を「願」と言います。阿弥陀様のお約束は48(48願)あります。その18番目には「もし、私の国(極楽浄土)に来たい者がいて、阿弥陀様どうか私を阿弥陀様の国に連れていって下さい、どうかお願いしますと言う者がいたら、必ず極楽浄土に連れていく」というお約束があります。

私どもはこのお約束によって、南無(お願いします)阿弥陀仏(阿弥陀様)と十回唱えることによって必ず極楽浄土に往生することが出来るのです。このお約束を残された阿弥陀様に感謝の気持ちを捧げるのが十夜法要です。

無量寿経というお経に「この世で十日十夜善行を積むことは、極楽世界で千年間善行を積むより尊いことだ」と書かれていることにちなみ、十日十夜の感謝の法要を行っていたので十夜法要と呼ばれています。最近では、十日十夜でなくて、1日それも2時間程度の法要が行っています。多分、善行の尊さも2/(24×10)の計算で、昔の0.8%程度になってしまったかもしれませんね。

当、善照寺では毎年11月17日に十夜法要を行っております。

十夜会の写真

十夜会の写真


除夜の鐘

1年は正月元旦から始まり、大晦日の除夜の鐘で終わります。新しい年を迎えるにあたって、1年間たまった煩悩の塊を剥ぎ落とし、清らかな身で新年を迎えたいものです。煩悩の一つ一つを鐘の音とともに消し去る、これが除夜の鐘です。煩悩の種類には108種が有るそうで、これを一つ一つ消し去るために108の鐘をつくわけです。煩悩の代表的な計算式は以下の通りです。

6つの感覚器官(眼、耳、鼻、舌、身、意)
×6つの感受(苦、楽、非苦非楽、好、悪、非好非悪)
×3つの時間領域(過去、現在、未来)
=108煩悩

当寺院では12月31日11:40分頃から除夜の鐘をつき始めます。最近では煩悩の数も非常に多くなったようです。お集まりになった方々は原則的に1回ずつ鐘をならすことが出来ます。大勢の方々が協力して煩悩の塊を剥ぎ落としましょう。なお寒い深夜ですので、お汁粉、お酒、蜜柑、焚き火などを用意しております。

除夜の鐘の写真

除夜の鐘の写真

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